幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 
 近ごろ身体が少々肥満気味の私は、会社の健康診断の際、医者からすすめられてウォーキングを始めました。しかし、最初の2週間ほどは毎日近所を歩いたのですが、「寒いから」「雨が降っているから」といっては、2日に1回、3日に1回と段々と回数が減り、「春になって暖かくなったらまた始めればいいや」という口実で、今ではもうバッタリです。
 もともと飽きっぽい性格の自分は、運動に限らず何をしても長続きがしません。どうしたらこういう性格が治せるでしょうか。
【岐阜県・40代の会社員】




<ハイ お答えしましょう!>
 
 ま、よくある話で、「明日やろう」が、あさってになり、またその次へと、結果、達成はゼロ。
 私は、あなたに言いたい、いや、この手の人たちに言いたいのは、単なる遊び、趣味だから、気楽にと思って、何ごとも最後までやり遂げない人には、他の事柄も同じで、重要なことを頼めない、当てにならん人が多いようで、私など、その被害者のひとりです。
「もともと飽きっぽい性格」と堂々といい切る厚かましいあなたに、いささか呆れます。
 自分で性格を分析して、悪いことだと知りながらそれを繰り返す、あなたのような熱しやすく冷めやすい人と仕事をしたら、周りの人は大変迷惑でしょう。
 私も、すべてに几帳面(きちょうめん)で、すべてを達成するという立派な人間ではありません。
 いうなれば、エエかげんな人間のひとりです。
 そのことを自己分析できるから、自己管理をすることの無駄をはぶくため、使ったものは決めた所に戻すとか、無駄なものは買ったり持たない、など心がけています。
 いったん始めたことは、最後までやり通す。だが、達成不可能とみると、きっぱり撤退(てったい)する勇気も持っています。しかしそのとき、周りに迷惑をかけるような事柄なら、引き受けた自分の軽率さを憾(うら)みながらも、全身全霊で、むしろ力を抜かずに命をかけてやり通す。それは、当然のことながら、社会に生きる人として、思想を持った人間としての責任だと考えるからなのです。
 他者から見て、何でもないことであっても、本人にとってはメチャこだわったり、真剣にやらなければと、思いの深いことというものが、人それぞれ、世の中にはあります。
「飽き性だ」と開き直るヒマがあるのなら、そのことによって他者に迷惑をかけていないか、それよりも、自分の人生を無駄にしていないのかを、考えてみてほしいですね。
 長続きしない性格だとご自分をあきらめていうのなら、他人に直し方など教えを乞わず、もう何にもせずに、家の中で寝てはったら。

 継続は力です。どんなことでも継続することに意義や意味があると私は思います。
 でも、あなたのような人間が現在増殖しているのが、今の世の中の風潮でもあります。しかし、年老いて、我が人生を振り返り、達成したものは‥‥と数えたとき、きっとお淋しいことでしょう。