幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 
 私の親友A子(38才)のことなんです。
 美人だし頭もいい、スタイルも。仕事は、某役所のキャリアで、いうことなしの素晴らしい女性なんです。しかし、A子はガラが悪い。
「今度こそは、今年こそは!」と毎年毎回誓うのですが、まず2分ともたず、オッサン語ベラベラ。エッチな言葉も口から出放題。
 彼女いわく、職人さんの父親に育てられた結果、いつの間にやら、男言葉、オッサン言葉、エロ言葉が耳についてしまったとか。
 先だって、彼女を含めて女性ばかり4人で、飲み会に出かけたときのこと。
 女性ばかりと思って、隣のテーブル席の、いささかヨッパラったサラリーマン風の男たちが、チラチラ私たちのほうを意識し、特に美人のA子に目線頻繁。
 ヨッパライのサラリーマン君、我々のテーブルに近寄るやいなや、A子の肩をぐしゃりとつかんだ。
「みんな〜ア美しいね、男なしでは淋しいでしょう〜。オレたちと一緒に合コンといこうよう〜」
 男の仲間たちのほうを見やると、ボケた安モンのサラリーマン風の連中ばっかり。
 ヤバイぞA子! と私が思ったその瞬間、A子のよく通る声で、ザワザワとした飲み屋の空気はストーンと、水を打ったように止まった。
「汚い手をのけろ! 臭い息 止めい! オマエらみたいな安モンの男が、うかつに触れるような肩じゃない! 湯がいたタコみたいな顔しやがって。オマエらみたいな男どもと酒飲むほど、不自由してるか! ボケ!どんなに不自由しても、オマエらみたいな安モンの男に、ヤッテくれと頼むか! このチビチン!」
 というが早いか、武道で鍛えたA子は、そのヨッパライの手をねじ上げ、
「暴行罪で訴えるぞ! 腐れ男!」
 といいながら、腕をひねり上げたまま外まで引っ張り出し、男を蹴り上げ、投げつけるように倒したのです。
「暴行罪」で捕まるのはA子ではとハラハラでした。その男の仲間たちは、あまりの出来事に言葉もなく、怯えながら私たちにヘコヘコ頭を下げ、私たちの飲み代も支払って、ほうほうの体(てい)で店から出て行きました。
 その後、何かいうと怒鳴られるのではと、お客さんもコチラをチラチラ見ながら、お店の中の盛り上がらないこと、お通夜のようで、想像してください。
 帰り道では、みんなA子の勇気を褒めるけれど、やっぱりあそこまで言わなくてもと、口々にいってました。
 A子も、言いすぎたと、少々後味が悪かったようですが、彼女のこのガラの悪い言葉、改善されると思います? 改善するには、どういう方法がありますか? 大切な友人だけに、やや心配で、ご相談しました。
【友人のオッサン言葉に悩む39才の独身OLです】


<ハイ お答えしましょう!>
 
 う〜ん、難しいかもネ。
 でもネ、私、男言葉、女言葉と、決めることはないと思うんですよ。
 相手の方や、周りが不快に思ったり、ま、時と場合、場所にもよるという、いうなれば臨機応変で、使い分ければと、それだけの問題でしょう。
 居酒屋でとったA子さんの行動は素晴らしい。
 安モンのサラリーマンのストレス解消のために、同じ客として楽しんでいるにもかかわらず、女性だからといって不快な思いをさせられることは決してありません。
 A子さんが武道の達人というところも痛快。まあ、「チビチン!」はどうかな。ひょっとして、デカチンやったら、失礼ですから(笑)でも、素晴らしい女性です。
 きっと、熱烈な恋をしたら、少しはエロい言葉は緩和されるかも‥‥、かもですよ。