幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>

  先日、初めて彼女とデートしました。行き先は水族館でした。
 キラキラと光る水槽の中にたくさんの魚たちを見てごきげんな彼女。
 デートは楽しく進行するはずでした。ヤツが現れるまでは‥‥。
 突然、彼女の前に大きな「エイ」がやってきてゆっくりと宙返りしたのです。
 それから彼女は顔を赤くしてうつむいてしまいました。そして僕を置き去りにして足早にその場から立ち去ったのです。
 楽しかったデートはその時から気まずい雰囲気になってしまい、初めてのデートは失敗してしまったのです。
 僕には、ちょっと思いあたることがあります。
 それは「エイ」が雄大に泳ぎながら、人間の顔、それもエビス様のように福々しいお顔で笑みをたたえている、その笑い顔からしっぽの方に目をやると、ショック! 小さい女の子の“アレ”そっくりなのが、ついているではないですか。
 “アレ”をじっと見ていたと、彼女は誤解したのかも‥‥。
 彼女に何と説明したらいいでしょうか。教えてください。
 
                  【兵庫在住・悩める中3男子】



  



























  
<ハイ お答えしましょう!> 
 
 あなたとは立場は逆の話ですが、私もまったく同じ経験をしたことがあります。17か18歳のころ、婚約中の彼とデートで、某水族館で『クジラ展』という催しがあるのを見に連れて行ってもらいました。いや、クジラが泳いでいるわけではなく、クジラの歴史や様々な部位の陳列と共に説明等々がなされているというものです。会場は超満員でした。
 あるコーナーに目をやると、いうなればお船の艪(ろ)のような大きな棒状の長〜いものが、私の目より高いところに飾ってあって、その陳列コーナーの前だけはお客さんが誰もいない。
“空(す)いてて、ここがエエワ!”と思った私は、何も考えず、さっさとその前に行ったのです。
 いくら見ても、なんかよくわからない物体。何か書いてある説明の掲示板を読もうとしたとき、いきなり彼が現れ、私の手を引っ張るようにつかんで、その場から離れたのです。
 彼の顔は真っ赤。おまけに私とは目線を合わせないのです。その日のデートは気まずいものとなりました。
 父にその話をすると、父はこともなげに、
「それはクジラさんのチンコやなア」
 と一言。
「そやけど、なんでそれを見てただけやのに、彼、怒ってしまいはったの?」
 と私が父に返すと、
「わからん! お前はなんでも好奇心が強い、ほんで、すぐに行動する。そやけど、考えとは違う行動したり、行動せえへん人もいはるんやなア、世の中には‥‥。恥ずかしかったんやろう!」
 陳列してるもん見たら恥ずかしいから見ないなんて、もったいない。クジラのペニスなんてめったに見られへんのに。
 今でもそのときの彼の雰囲気を、不思議な思いで覚えています。
 彼とは結婚したけど離婚となりました。このことは、やや暗示的な出来事だったかもしれません。

 あなたへの答えとしては、
 きっと、彼女は“恥ずかしかった”のと、あなたが“エロッチ”な男性に見えたのかもネ。
 一緒に好奇心や想像力を共有できる人が、そのうちきっと現れます。気にしないでネ。