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<<旅回りのころを想起させてくれた2日間>>


 大分市で2日間の“講演”をご披露。
 私の講演は、“講演”というより『公演』というほうが正しいかもしれない。
 今回は、特に『公演』だった。
 演題は、
「あなたの尊厳は守られていますか?」
  〜 歌って 踊って つながって 〜


 初日の、竹中校区公民館落成行事の一環として、私にお座敷がかかった。
 主催メインは、市の教育委員会。
 会場となっている竹中校区公民館は、山間部。
 山々の木々、小川、細い道。空気のきれいな所だった。

 だいたい、公民館や地方の役所といえば、なぜかギンギンぎらぎらで、金にものをいわせた場違いの建築物が圧倒的に多い。しかも、実に使いにくい。
 そんなお金があるなら、住民にまわしてあげたら……いや、百歩譲って、どうしても必要というなら、住民総意による建物や、集会場、住民の集まれる温かい場を創ればいい。

 ずーっと以前、某所での公会堂のとき、
「この公会堂、立派ですネ」
 と、私の書籍を買ってくださった人へ、サインをしながらお客さんに水を向けると、
「な〜んだか、ほとんど使ってねえよ! もったいないね〜、私らの税金だのによ〜。
 けど今日は、幻舟さんが動き回って、講演してくれてよかった。
 学者よんで、舞台の真ん中に机を置いてつっ立ってよ、難しい言葉でしゃべってよ、なにが〜人権だよなア〜。
 こりゃあ、市長か教育委員長の見栄で建てたんだなア〜とよ、皆でいってんだ(笑)今日は、幻舟さんのおかげで、本当に役に立ったなア〜」
 なかなか、実に立派な住民。お見通しではないか! と感服したことを覚えている。

 話を戻します。
 竹中校区公民館会場の中に入ると、小さな座布団が百枚くらいかな、敷いてあって、後ろのほうには小さいイス。
 ああ……タイムスリップ……。
 私の幼いころ、村の集会場などで公演をさせてもらった。
 お客さんは、自分の座布団を抱えて、開演より3〜4時間前に場所取りに、三々五々集まる。
 座布団の上に自分ちの名前を書いた紙が置いてあったり……もうすでに満席か……。
 日ごろ、疎外され、辛い極貧生活を忘れさせてくれる、役者としての誇り高い瞬間だった。
 芝居小屋を想起させてくれた竹中校区公民館の設(しつら)え。
 これは、教育委員会の役人(役人とは思えない気ばたらきと、行動力のある青年)であるBさんのアイデアだろう。
 この建物は、地元特産の竹を随所に使っていた。 竹を薄く削って、舞台床全面に張りつめた華やかさと品格の良さにほれぼれとさせる。


(撮影・イガグリ君)
 満杯に集って下さった聴衆……農家の人は無口で、感情を表にしない方が多い……というのは、私の幼いころの経験。
 しかし、竹中校区公民館に集って下さった皆さんは、実に感情豊か。
 舞台が終わり、楽屋に戻ると、地区の女子連(やや熟女多し)の皆さんの手作りの食事会。
 ホンマに、楽屋で座員たちと一緒によばれる思いに、心やすまる時を過ごさせていただいた。


(撮影・イガグリ君)


『公演』を終え、手作りのご馳走をスタッフ全員でよばれ、外に出ると夕焼けが見事。
 役人づらして、ポケットに手を入れ、何もしないで“階級”の下の若者を顎(あご)で使う連中の多い世の中。
 そんな情のない、大きな誤解をしている人は、誰ひとりとしていなかった……。夕焼けとともに忘れません。
 あ、そうそう、竹中校区公民館で食事を終えて衣裳の片づけものをしていると、
「ワシの目の黒いうちには、もうないなア〜、こんなエエ講演会……」
 ため息まじりに、ひとり言をいいながらヤカンを下げて廊下を通ったのは、竹中公民館の若い館長。
 スタッフ全員といっても、公民館の全員が共にスタッフ。
 我がチームは、チーフのBさんを入れて4人すべて、市役所の教育・人権課の人ら。
 客席のセッティング、照明から、楽屋の整備、音響等々……ニコニコ笑って走り回る。


 2日目は漁場。
 朝10時開演、えっえエエ〜〜〜。
 ほんまに聴衆というか、人、集まるんかいなア〜 と心もち、心配。
 しかし、心配は単なる取り越し苦労だった。
 神崎(こうざき)中学体育館も、満席!!
 お客さんを集めるのは大変。皆さん、見えぬご苦労をしたことだろう。
「ヨーコちゃん!!」
 のかけ声もかけてくれたオッチャンがいたりして……。
 日焼けと海の風で鍛えたゴツイ顔したオッチャンが、私の話で、泪でグチャグチャ。
“ありがとう、オッチャン!”

 素敵な方との出会いもあった。
 いまだ反体制を貫いて、錆(さび)びることなく左翼やっている人がいた!
 みんなトンズラして、大企業や役人のエライさんに転向し、
“若いころはサ〜”
 なんて、笑いながら、生命かけて闘ったことを、“青春の1ページ!” とかいって、恥じもプライドも捨て去り、吐き気がするほどの恥知らず鉄面皮が、胸張って政治・経済を牛耳っている。
 しかし、いまだ現役が! 大分に、 いたんだ!
 強い者に向かって闘っている21世紀の国定忠治が、まだいた! うれしくなった。






(撮影・イガグリ君)  企画、段取りをしてくれたBさん!!  心優しい人々に会わせてくれて、感謝。
 スタッフ=
 付人のA子さん。
 音響係のC君。
 受け付け兼照明係のイガグリ君。
 その他、いっぱいの愛をくださった皆さんへ、大感謝。
 まさに、人はひとりでは生きられない! を見せてもらった。




 今回、私の一番の感動と驚きは、背広を着て、役人づらし、ポケットに手をつっこんで、な〜んもせん人がひとりもいなかったこと。
「あなたの尊厳は守られていますか?」
 演題通りの、3泊4日間でした。
 まだまだ、ニッポン、大丈夫や!!