知人から電話が入り、 「松茸(マッタケ)の季節……」 とか、なんとかしゃべっているうちに、今はもういない母の話となった。 それはもう20年以上前の話。 母に誘われて、生まれて初めて『松茸狩り』に行ったときのこと。 目的地に着くなり、案内の人にもらった大きなカゴをぶらさげて、意外と起伏の激しい山の中へ。 湿った松葉が堆積(たいせき)して、山肌が滑りやすい。 ソロソロと、奥へ奥へと進むうちに、あっちこっちに、ニョッコリ、ニョッコリと、頭を出しているのや、全身をあらわに、マッタケ丸出しのもある……。 えッ……、マッタケ!! スゴイ、スゴイ……ワイセツ!! エゲツナイ!! エエのんか? こんなワイセツ……物チンレツ……。 なんや、恥ずかしい。私はフリーズ状態。 茫然自失の私を見て、 「なにしてるの。早よ採りなはれ!」 と、笑顔で檄を飛ばす母の声。 母娘でマッタケ握ってウロチョロ……。恥ずかしがっているわりには、でっかいマッタケ握っている私。 兵庫県警、よう許すなア? 『松茸狩り』というもの、初体験の私としては、ひたすら恥ずかしい……。 恥ずかしいだけの想い出となった。 この話をすると知人は、電話の向こうでお腹を抱えて高笑い。 「考えすぎというか、想像力アリスギ。その……考えのほうが、よっぽどエロいワ」 けど、今でもこの季節になると、フッと母の大胆な行動を想い出して笑ってしまう……。 亡き母を偲ぶ折、松茸狩りの恥ずかしさが頭の内で駆けめぐる人間も珍しいのかも……。 |
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