【第四幕】 |
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「 | こりゃ、三太夫。天守閣へ昇るエスカレータの前で何をしておるのじゃ?」 |
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「 |
こへは、ひゃめ! ひゃんらゆうれ ごりゃりまひゅりょ」 |
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「 |
怖わっ! なんじゃ、ほっぺたはゲソッと落ち、目の下にクマは出来ておるし、充血で真っ赤になっておるぞ、まなこが」 |
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「 |
ひゃめ! ひゃんらゆうは、えひゅかれひゃーの かいらんがなんらんあるか かぞへておったので ごぎゃりまひゅ」 |
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「 |
相変わらずじゃな。で、何段あったのじゃ? エスカレーターの階段の数は」 |
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「 |
はちまん ななしぇん ろっぱく ごりゅう しゃーん!」 |
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「 |
どんだけ かかって数えたのじゃ。第一、シャーンと3でボケるの、それはなんじゃあ〜。また、どこかのネタをパクッたのか」 |
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「 | ひゃめ! ひゃめとひゃなひてる あいらに かずがわかりゃんなく なりまひら」 ……数日後…… |
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「 |
姫! 三太夫でございますぞ! 先日は危ないところ有難うございました。もうちょっとで三太夫、アナザーワールドへ行くところでございました。姫の一声でこっちの世界に戻ることが出来ましたぞ!」 |
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「 |
まぁ、その方のこと、何があっても驚かぬがな。で、今日は何の用じゃ?」 |
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「 | 三太夫は、生まれつき頭は良いのでござるが、努力とか勉強とかしたことがござりませぬ。姫は猛勉強をしたことがあると聞きましたぞ。どのようにすれば姫のように猛勉強が出来るか教えていただきたいので」 |
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「 | 三太夫、よくぞ聞いた。 そもそも日本では、教育というものに対して、大きな間違いをしておるようじゃ。 教育や学問、すなわち知識というものは、本人のためであり、それを習得することによって社会に還元する、というものと姫は考える。 ところが日本人は、世間体や、他者から立派だなどと思われたさに、すなわち肩書き欲しさに、名門校や有名大学に、無理してすべり込むのじゃ。 『御主もワルよのう〜』 『お代官様こそ……ガハハハ』 と、裏金を使う、愚かな者さえいる。 無理して有名大学にもぐり込んだところで、本人、将来○○になりたい、△△のような仕事がしたいといった、しっかりとした指針もなく、親や周りに煽(あお)られて、無理を重ねて勉強したが、大学に入ることだけが目的で、学んだ学問など、卒業し社会人になっても、なんの役にも立たんのじゃ。 学問・教育というもの、自分自身が、なんとしても学びたい! という本人自身が必要、切望したとき達成できる。 そしてなによりも大切なのは、学ぶ喜びじゃ。それを体感したら、もう勉強することが楽しくなる。まさに砂漠に水を撒(ま)くように、どんどん吸収してくれる。 学ぶ喜びを掴んだら、本人自身の能力を超えた集中力が出るのじゃ。 一つだけいっておくが、姫のように1日20時間もの猛勉強での集中力は、まず3年間が限度。3年間の内に、自分の思いを達成することじゃ。 姫は故あって、小学校3年中退で、そのことによる劣等感、疎外感、孤独感が心のキズとなり、なんとしてもこのキズを治したいと、払拭させるため姫は大挑戦した。学ぶ喜びも、真底、体感したぞ。 人間の可能性は無限大。 ただし、本人、学ぶ喜びを知り、やる気があればのこと。 三太夫、わかったか」 |
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【三太夫覚え帖】 そうかぁ。姫のお話はいつ伺っても為になるのう。そうじゃ! この前から疑問に思っていたことを解決せねば! 散髪屋さんのグルグル回る看板、サインポールとか申したな。あの赤・白・青の三本の縞模様、何本あるか数えねば。あれだけの数が下から上にあがっていくのに、どこに保管しているのであろう? あの縞しまは。無限と永久は、三太夫にとって永遠の謎でござるぞ! |
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