幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 
 かれこれ1年くらい前になりますが、父が脳梗塞(こうそく)で倒れました。
 救急車ですぐ病院に運ばれ、後遺症の程度も、幸いのことにそれほど重くなくて済みました。
 しかし、それ以来、人の集まる所を避けるようになってしまったのです。
 倒れる前には、バイクに乗って出かけたり、人の集まる所も好きな父でしたが、すっかり変わりました。
 思うようにならない自分の姿を他人に見られたくない、と思う父の気持ちもわかりますが、外の空気でも吸って気分転換などさせたいと思う毎日です。
 家に閉じこもってばかりいる父を、少しでも外出させたい気持ちですが、どうしたらいいのか、二人きりの父息子(おやこ)ですから、相談する人もいなくて。
 幻舟さん、少しでもヒントがあれば教えて下さい。
【岐阜県・無職、43歳の男】



<ハイ お答えしましょう!>
 
 ご病気が 軽くて良かったですね。文面からみると、あなたひとりで、お父さんの介助をしておられるご様子、お疲れでしょう。
 私も、わずかな期間ですが、母の介護をしたことがあります。
 相手が病人、わがままをいおうと、病気がいわせている、私より本人のほうが辛いだろう、元気な人だっただけに、ままにならない自分自身がくやしいんだろうと、介護している者はわかっています、私もそうでした。
 しかし、介護や介助に疲れがたまり、ものごとを論理的に、冷静に考えられなくなるんです。これは私だけでなく、経験者誰でもがいいます。
 あなたも、お父さんをなんとかお元気に、元どおりにと、思う気持ちは理解できますが決してあせってはいけません。
 病後、ある種の自閉症的症状や、うつ病的症状が現れることもあります。その場合、以前、元気で外交的な方はなおさらなのです。
 外出して、人目にふれることによって、自己の中にある 自尊心が傷ついたり、プライドが崩壊させられる、無意識のうちですが、そんなことがご本人 怖いのです。
 けれど他者との関わりは、人間として、とても大切ですから、確かにこのままではいけません。
 ここでひとつ、あなたが視点を変えることです。
 外出、外出と考えず、知人や友人に遊びに来てもらう。お父さんのテリトリーであるご自宅で、他者とふれあう。自宅で、なにか名目をつけて、ささやかな集まりを重ねてみてごらんなさい。
 あなたが元気であることが一番ですから、あなたひとりで抱え込まないこと、それが何よりもお父さんを元気づけ勇気づけることなのです。
 ふたりきりの父息子(おやこ)だけに、お互いにわがままもでます。
 たとえ1ヶ月1回でも、お金に余裕があるなら、ちょっと気のきいたヘルパーさんに来てもらって、ご一緒に食事を食べてもらう とかはどうです? 当然、行政のほうでも相談に乗ってくれますよ。
 ヒントは、心の弱ったお父さんを変えるのではなく、あなた自身の視点を変える、目線を変えてみる、でしょうか。
 最後に一言。 たったひとりで頑張らないでくださいよ。
 これまで、いっぱい税金を払ってきたお父さんであり、あなた自身もそうなんですから堂々と行政に手伝ってもらいましょう。これを忘れないように。


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