幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!



<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 
 現在、50歳をとっくに過ぎた、独身で一人暮らしの男性です。
 某家電関係のサラリーマン。結婚の経験はありますが、いま考えれば、お互いの我がままだったのか、結果、離婚。子どもがいなかっただけでも良かったと思います。
 他人には“独身貴族”なんて自由をエンジョイしている風にみせていますが、近ごろ、フッと、老いてからのことを考えるようになりました。
 私は、まったくの無趣味。いわゆる仕事人間、典型的な日本の男性かもしれませんが、融通のきかない、面白みのない男だと思うんです。
 趣味を持たない老人は淋しいと、なにかの本で読みましたし、ゲートボールなんて、年寄りの集団みたいで、どうも‥‥。
 幻舟さんは、なにか打ち込む趣味、おありですか?
 どうやって、年老いたこれからの人生を、面白いものにしていったらいいのか‥‥。アドバイスがあればお願いします。
【50代、男性】



<ハイ お答えしましょう!>
 
 う〜ん、それぞれ異なる問題ですネ〜。
 確かに、なにかに熱中できる趣味など持っている方は、年老いても、淋しくないのかもしれませんが、それも一概にはいえないかもです。
 あなたは、独身で一人暮らし、そして年老いて行く‥‥ということに不安がおありなのかもしれません。
 でも考えてみて下さい。結婚していても、いずれは、どちらかが先に逝き、一人残されることになるんです。
 レッツ・ゴー! で、老衰で一緒に逝けるということはまずありません。
 人間は所詮孤独なもの。私なども一人暮らしですから、仕事が入っていなければ、誰も訪ねてきません。休みのときこそゆっくりさせてあげたいと、むしろ遠慮して、連絡もしてこない。となると、病気で死んでいても死体は何日も発見されず!! なんてことも想像に難くないこと。
 けど、本人、コロッと死んでいるのですから安楽死。確かに、残った人らが、あれこれ勝手なことをいうでしょう、「孤独死‥‥」なんたらかんたらと。
 けど、死ぬときは誰でも死にます。そんな、限りなく当然のことを悩ましくとらえるより、今、この時間を大切にすることが、趣味や生きがいにつながることに出会えるかもと、私は思いますよ。
 私も無趣味のほうです。
 子どもの頃から働くことしか仕込まれてきませんでしたから、当然。でもネ、私は、どんなことに向かうときでも、真剣に情熱をかけて、全精力を傾けてやりぬきます。
 休みのときなど、お料理を作ったり、キッチンをピカピカに磨いたり、念入りに部屋の掃除をしたり等、毎日ではないのですが、ひとつだけ決めて、今日はやるゾ!!なんて、メチャ気合を入れて、楽しみながらやるんです。
 こういうと、えらい働き者のように聞こえますが、私、結構、ズボラですよ。
 休みのときなど、パジャマを着たままで朝から晩まで、ろくに食事もせず ゴロゴロして、本を読んだり昼寝をしたりの日もありで、これぞ一人暮らしの特権で、楽しんでいます。

『熱情を込めて、なにごとも 楽しみながらやる』
 というのが、私のモットー、人生のキーワードです。
 趣味はないけれど、一人でなんでも面白がってやります。この前は、キッチンにタイルを貼って、自分でリフォームを完成させました。
 趣味がないから老後が‥‥などと、既成の概念にとらわれず、今を大切に、楽しんでみることですヨ。
 美味しい紅茶をゆっくり飲んだり、夕焼けをジッと見て、ああ、きれいやなア〜と、思える心の余裕、これも、仕事一途に生きてきた人にとっては素晴らしい時間の過ごし方だと思います。
 マンションか一軒家にお住まいなのか、わかりませんが、顔を合わした方に、“コンニチワ”“お早うございます”これをいうのも、人と人とのふれあいの始まり。
 私など、初めの頃、すれちがっているのに、誰も朝晩の挨拶をしない方たちに驚きました。大人を見て子どもは育つといいますが、同じように子どもたちも挨拶をしなかった。私は、都会のうすら寒い暮らしを感じましたが、共有スペースでお会いした方には必ず大声で、ニコニコしながら挨拶をしつづけました。そしたら、今や、みんな互いに、声をかけあうようになり、中には声は出さないけれど、少しテレながら、目だけで挨拶をする方もでてきました。エエ気持ちです。
 嬉しそうに挨拶をかわしてくださる、ご老人の方もいらっしゃいますよ。
 これもお互いに 孤独解消には必要なことだと考えています。

 みんな生きてきた道が違うのですから、人それぞれのエンジョイの仕方も様々あっていいと思います。
 ある方が私にいいました。
「幻舟さん、今はまだいいけれど、年老いて一人は、淋しいよ‥‥」
 と。
 やさしく心配して下さっての言葉ですが、その淋しさ、孤独を道づれに、今日まで生きてきたのですから、これから先も、大丈夫。
“もはやこれまで!!”と考えたときの 身の処し方も覚悟して生きています。
 ですから、『孤独や淋しさも また楽し』ですネ。


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