幻舟のよろず相談劇場 (2)


 
 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!



<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 
 はじめまして。悩みの相談劇場の過去の質問をバックナンバーで見ていますと、あらゆることに幻舟さんは本気で真剣に答えてくださっています。その点が幻舟さんのすごいところだと思うのですが…。
 で、顔が見えないことをいいことに、私もちょっと、恥ずかしながら教えてください。
 学生の身で結婚して30年。倦怠期らしきものも過ぎ、一人娘も嫁いで、現在空気のような夫婦二人暮らしです。
 私は、定年を目前にして、気力、精力が衰えてゆくのを実感する日々です。しかし妻は、パートで毎日出かけ、それも厚化粧が目立つようになり、とにかくバイタリティーの塊みたいな女で、夜のコトも、私とはまったく対極にあります。
 妻は最低2日か3日ごとには要求してくるのです。応じない私に対して「役立たず!!」と罵(ののし)る妻。若い頃とは違い、つつしみもなく露骨に迫る妻。で、なお私の性衝動は萎える一方。
 しかし、私が不能ではないということは、自分自身、実感しています。例えば、ポルノのDVDを観たりしたときは、男性自身は勃起もしますし射精もします。はっきりいって、妻に対して、どうにも心が動かないんです。
 一時、“バイアグラ”という薬の話が話題になりましたネ。あの薬の処方箋は、病院に行けばいいのか…、私のような悩みを持っている人はいるのか…。幻舟さん、アドバイスをお願いします。
 このままだと、ますます妻に嫌悪感をもってしまいます。
 バカな話と笑わないでください。
【50歳半ば・男性】



<ハイ お答えしましょう!>
 
 笑いませんよ。とっても大切なことだと思います。
 ご夫婦二人きりになって、これから、ゆっくり、楽しく過ごしていかなければならないときを迎えての性の悩み、大切な話です。
 年老いて性の話をすると恥ずかしいと、日本人は考えられがちですが、私は決してそう思いませんよ。
 女性の悩みや病気には「婦人科」というものがありますが、男性のこのような悩みや苦しみに対しての「男性科」というものは、現在、日本にはありません。
 現在、女性に更年期障害があるように、男性にも女性と同じように更年期障害があるんだと、やっと認知されるようになりました。しかし、「男性更年期外来」という科のある病院も、大変少ないというのが現状です。
 近ごろ多くなった心療内科もしくは内科、または神経精神科などで問診や検査を受け、その結果、適切な処方として、“バイアグラ”を処方することもあります。また、“尿の出が悪い”とか、“勃起不全”などの症状は、「泌尿器科」から処方される例もあります。
 なぜ“バイアグラ”を処方するために問診や精密検査が必要か。それは“バイアグラ”を飲む人自身に持病がないかを厳密に調べるためです。
 血管に関しての病気、具体的にいうと、血栓症や心臓病、高血圧症等々の人は、決して飲んではいけない、死に至る可能性が大だからなのです。
 一時、インターネットで安価な“バイアグラ”と称す薬を買って、服用した人が亡くなった例もニュースになったりしています。
 私は思うのですが、あなたは不能ではないのです。
 単に、妻に対して性衝動が湧かないだけだと思います。そして、もうひとつ大きな理由としては、自分はもうすぐ定年で人生が終わる、と思い込んでおられるところへ、その反対に 妻は美しく化粧をして キラキラ輝き、外出していく。精力的に活動している妻にある種のコンプレックスが、無意識のうちに芽生えてきたのかも‥‥。
 あなた自身が、これまで生活の主導権を握っていたはずだった、それがいつの間にやら 妻が主導権を握るようになり、夜の生活にも現れてきたのです。
 気づかぬうちにあなたは、妻にプライドを傷つけられていたのかもしれませんね。
 夫婦とは、互いに助けられたり助けたりの繰り返しではないですか。
 30年もの長期に渡り、ご一緒に乗り越えてこられたお二人です。一度、ゆっくり、時間をかけ互いに真正面から向き合って 話し合ってみたらいかがです。セックスのお話もですよ。
 男と女は関係性で成り立つもの。
 セックスも、一方だけが満足し、片方がお付き合いでは、感動的で素敵な、充実したセックスライフとはいえません。
 あなたはまだまだお若いし、すべて現役ですよ。
 もっと人間として、自信を持ち、妻に対して、コンプレックスを捨て、男と女の関係性を、もう一度構築するための努力をしてください。
 “バイアグラ”など、あなたには必要ありません。

 こんなときですから、ちょっと付け足しておきます。
 日本の夫婦関係は、“夫に食べさせてもらっている”という重圧や、思い込みの感情が今でもあり、夫婦が対等ではありません。
 常に妻は受け身で、夫に求められたとき、「ノー」と言えません。いやでも夫の欲求を受け入れ、夫の“終わる”のをひたすら願いながら『大熱演』しているという、妻も大勢います。このことも、ちょっと頭のどこかに受け止めておいてくださいネ。


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