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まったく、あなたがおっしゃる通り。まず、色彩感覚が、意識の中にないのかもしれませんね。
女性が、スカートの下から下着が見えている? と思って、じーっと見たら、いわゆる重ね着らしい。
とにかく、並んで立っただけでも、こちらが気恥ずかしくなる人、それも、男も女も同じで、色彩、デザインはメチャクチャ。
おまけに、そういう人同士の会話のガラの悪さ。ガラが悪いというのではないのか、文法そのものが間違っていることにも気づかず、大声でしゃべりまくっている。
早い話が、単なるおバカ、与太郎 与太子が増殖しているようです。
この前、携帯電話でメールをしながら歩いている“腰パン”(ズボンを下にずらして オシリが見える恰好)姿の若者(先だってから話題の、スノーボード競技者
国母(こくぼ)選手と同じスタイル)が、高齢の女性にぶつかった。
私の真ん前だったので、その高齢の女性を私がうしろから抱きかかえる感じで、ご本人、驚かれただろうが、ケガもなく、大事にはいたらなかった。
「大丈夫でしたか? どこか痛くしませんでしたか?」
と問いかけている間、ちょっと振り向いたおバカ男は、そのまま行こうとするので、
「これ! 待て! 謝って行きなさい!」
その瞬間、私は、声にしていた。
そのガキ、肩をイカラして、
「なんだよ〜!」
と振り向いて、私のほうへ戻ってきた。
「謝れ、いうてんねん!」
「何いってんだよ〜」
と、つっぱらかり、肩をいっそうイカラせ、ズボンちょっと下へ引っぱったら、中身丸見せのマヌケなお姿で、私に近づいてきた。
こんなおバカ相手にするのも時間がもったいないとは思ったが、一発、恫喝(どうかつ)してやらねば、クセになる!
「君な、この、お母さんにぶつかったんや! もうちょっとで、大ケガするとこや。そやから、謝れ、というたんや。そんな恰好して、そのスジにでもみせたいんか、チンピラが。ホンマもんのヤクザちゅうのはな、一見、カタギに見えるように、服装はきちんと、道はすみを歩く。カタギの衆に迷惑をかけんように生きてるんや! チンピラに限って、恰好だけで他人を威嚇(いかく)、それも弱い者いじめするんや。ズボン、ちゃんと上げんかい!
エエか、コラ、お前らみたいなチンピラにもなっていない 与太郎が、ホンマもんの そのスジの者の足引っぱるんや! 私見て、そのスジの人間に見えるか?
カタギの、単なる女にしか見えへんやろ? どや、どないや!
ちょっと、うちの 事務所まで行こか?」
いつの間にやらヤクザに変身して、なりきってしまっていた私(ここぞというとき、自分でない色んな人間に 変身〜ンするんです、私)。
ここまで一気に、立て板に水よろしく、大見得きってゆっくり、怒鳴り上げてやった。
私のヤクザ変身の途中くらいで、そのおバカニイちゃん、おシリまで見えそうにずらしたズボンをウエストまで引き上げて、小刻みに震えていた。
「人さんにぶつかったら、謝る。歩きながらケータイはせん。服装で、なんぼ強そうに見せようとしても、中身がなかったら、意味ない。きっちり謝って、早よ消えんかい!」(上品に!
何度いうたらわかるの、幻舟さん!)
私の言葉通り、小学一年生みたいに 気をつけ〜イ! して、何度も謝り 頭を下げて、足早に消えていった。
その間の成り行きを、私の横にいて見聞きしていた高齢の女性は、
「あんな若者に、こんなに親切丁寧に、お説教してくれた人は、初めて見ました。おやさしい人ですね。今の世の中、みんな関わりたくない、知らんぷりばっかりですよ……本当にありがとうございました」
そのあと、小さい声で微笑みながら、
「その“スジ”って、いい言葉。カッコよかったですよ、幻舟さん!」
私のこと、すっかりバレていたのか……なんたる未熟。
しかし、その間にも、大通りにもかかわらず、誰も口をはさんで、我々女性への援軍はなかった。
冷たい世の中。サブ〜ですね。
国母選手が、服装の乱れを指摘された謝罪会見で、
「反省してマ〜ス」
と人を食ったような発言も、動揺を悟られたくないカラ元気、エエとこ見せて、チンピラがカッコつけているだけのこと。
「出場停止! ほれ、飛行機のチケット。これ持って、トットと日本に帰ってチョウダイ!」
てな、強烈、無情なペナルティでも科せばよかった。国民の税金で参加させてもらって、重責を担っているという自覚は、まったく皆無の、ノー天気。一発恫喝してやれば、このチンピラのためになったかも。
人生、生きるか死ぬか、やるかやられるかの、真剣勝負 修羅場の経験をしていない人間は、表面だけ、それも、ピントはずれのカッコ付けて、見てくればかり気にする。
本人 自己主張しているつもりが、右も左も同じような恰好して平気で、いや、それすら気づかず歩いていられる間は、真に中身のない証拠といえるのでしょうね。
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