幻舟のよろず相談劇場 (2)

                   

 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
 近ごろ、盛んに、親の虐待による“子殺し”が報道されています。
 となり近所の人たちも、子どもが異常に泣く声や、突然姿を見かけなくなった等々、テレビのニュースで語っています。にもかかわらず、子どもたちの餓死や、虐待による死亡記事はあとを絶ちません。
 虐待されている子どもが私の住むマンションにいて、見るに見かねて、たまたま共有スペースの廊下で奥さんにばったり会ったので、
「奥さん、子どもさんが異常な泣き方をいつもしておられますし、手足のケガもひどいようなので……私のような者でも、何か奥さんの手助けになれば……ひとりで部屋にいると、フラストレーションも溜まりますし……」
 とここまでいうかいわないかのあたりで、
「よその家庭の問題に、首を突っ込まないで、ご自分の部屋の掃除でもしたら!」
 と噛みつかんばかりに大声で怒鳴られました。
 その夜、そこの夫が私の部屋に来て、悪口雑言を、それも大声で、怖かった!
 どうしたらいいのでしょうね。私は怯えてしまい、その後、どうしていいのかわからなくなって……。
 幻舟さんは、周りの人たちが見て見ぬふりをするのが一番の悪だといっておられるし、幻舟さんがまだ 14か15歳の頃に、ガリガリに痩せ、明らかに幼児を虐待している、鬼畜のような恐ろしい両親に たった一人で向かっていったという話を、本でもホームページでも 読みました。
 今、私たちも、やれることがあるはず。どうしたらいいのか、教えてください。
【福島県在住 40代 主婦】



<ハイ お答えしましょう!>
 偉いです、ご本人に向かって言うなんて。なかなか、できないことです。

 行政でも、せっかくできた『児童虐待防止法』等に基づく『立入調査』に、ほとんど踏みきってはくれません。
「会わせてくれなかったので」などと、与太郎みたいに、それで帰ってきたのか! 恥ずかしくもなく、平気で 記者会見でいうのだから。
 私は思うのですが、
「何事も他人事、あまり関わりたくない」
 という、大人たちの間違った保身が、今日、長期間にも及ぶ、幼い子たちの虐待による殺し、殺人事件続発していると考えます。
 日本人の伝統的思想なのか、我が子を我が所有物とし、親の意見の良し悪しにかかわらず服従する。親のいうことを素直に聞く子こそ、『良い子』となるのですね。
 子どもが30歳過ぎていて、犯罪を犯したりしたとき、親が出てきて、子どものために頭を下げたりしているテレビ映像がよくありますよね。
 あれなんかも、典型的な日本の伝統的親子関係を表わしたものでしょう。
 親も子離れ、子は親離れしない日本。それは、幼いとき親と子の関係性にあると、私は考えます。いつまでたっても、共に自立できない日本人。
 私は、薄情な人は嫌いです。薄情とか、不義理者等と、各自が自立するというのは根本的に違うのですが……。

 ときおり、家庭内暴力や、先の話のような児童虐待等について、警察の生活安全課(所轄によっては呼び方が異なる)等に訴えに行くと、
「民事不介入だから」
 と、テレビのワイドショー等で文化人(?)たちがいっていたといいますが、公の場で、そんな間違った話をしては困る。
 現行法では、民事にも警察権力は介入します(まして、虐待による被害者の子どもは、身体に傷害を負わされています。これは明らかに刑事事件です)。
 現に、児童虐待等における問題は、『児童虐待防止法』第9条により、福祉に関する事務職員の 立入調査 ができるようになり、その折、警察官共に立入れることになっているのです。
 民事は、家庭内には不介入などということはないんです。
 一見、見ただけでは、虐待を立証できません。また、親も認めないだろう。被害者である子どもたちも、本音は見せません。
 仕返しが怖いだけではなく、「ここしか行くところがない」ということが、幼心にも叩き込まれてしまっている、やっぱり自分にとっては、かけがえのない親なのでしょう。
 近所の人たちは、児童相談所や警察にしつこいくらい電話や足を運ぶこと。
 その声を聞いたときは、即、行動するのが行政であり、幼い子の命を救うことなのです。
 親が子どもに会わせないということ自体、ひとつの不審をもって、職員や警察官は法にのっとって、立入調査 をすみやかに実行していれば救われていた事例のほうが多いでしょう。「虐待」などといいますが、殺人事件であることは自明。関係者たちは、人手が足りない、専門家が少ないなどと、言い訳や詭弁はやめて、まず行動! 子どもたちの苦痛を真に受けとめていただきたい。
 
 少子化について、政治はやっきになって対策を! と呼びかけていますが、現実に、2、3歳の幼い子が、親の手で殺されていることに対して、真剣に向き合っていない、このやり方に、大きな矛盾とズレを感じるのは、私だけではないと思います。
 親が会わさないといっても、児童虐待防止法等に関する法律の改正の中に、上記法に基づく 立入調査 が実行できるということを覚えておいてください。

 児童虐待に係る通告は、児童虐待防止に関する法律の中に、
第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に 通告しなければならない。
(注・児童福祉法第25条にも「通告の義務」が明示されている)
第七条 市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児童相談所が前条第一項の規定による通告を受けた場合においては、(略)その職務上知り得た事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない。(注・通報者を守るという意味です。)

 「市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所」となっていますが、急迫を感じたときは、最寄りの警察にも行くべきと、私は考えます。
 ひとつ、酷なことをいいますと、通告の義務を法制化していますが、知っていて通告(通報)しなかった人への罰則規定が抜けていることだと、私はいいたい。罰則規定があれば、もっと本気で関わるのでは……。

 社会の一員である、子どもたちの未来のため、私たち大人が、もっともっと強くなり、勉強しましょう。



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