母親として、お心を痛めておられる思い、短い文面の中から、充分、伝わってきます。 　しかし、お嬢さんの頭のよさにも感服いたします。 　年齢の違いで反対されては…と、根回し、段取りのよさは、まるで戦国武将のような攻略戦、素晴らしいお嬢さんです。 　いうまでもなく、結婚というものは、周りのためや社会秩序のためにするのではなく、本人同士の問題です。 　結婚式前日に取りやめた人も私は知っておりますが、あれこれと家族たちは困惑しておられ、決まって出る言葉は、 「カッコ悪い……。近所隣りや親戚に、どうやって説明するのよ！」 　このパターンばっかりでしたね。 　結婚をするご本人が、結婚を取りやめるという、大きな決断に至った問題は、誰も推察してくれないようでした。 　お嬢さんは、恩師でもあり尊敬する彼との結婚は、ギリギリまで本気だったと思いますよ。しかし、どこかで、“なにか違う……”と、お嬢さんの意識の中で広がっていき、しかも、もう一方の同級生でもある彼の存在。 　二人の男性を比較対照することができる環境の中で、究極の選択をされたのでしょう。 　お母さんは、他者に対して申し訳ないという思いの火中に、今は身を焼いて、苦しんでおられますが、少し、目線を引いて考えてみればいかがですか。 　これが、結婚してからの破局なら……もっとお嬢さんも、年上の男性の方にも、大きな傷を負わせる結果となったと、私は思います。 　あなたが、ご自分のお母様になんと説明したらいいのか……と、悩んでおられるようですが、 「やっぱり、ジェネレーションギャップ、年の差で、うまくいかなかったようよ……お付き合いしてみて、わかったみたいネ」 　と、やんわりお話しになれば、人生の大先輩でもあるあなたのお母様は、意外と、多く語らずで、のみ込んで下さるかも、ですよ。 　“なにか違う”と思いながら、親戚に、祖母に、友人にもカッコが悪いと、他者ばかりに心を惑わされ、自己をしっかり見つめない人より、はるかに、自立したお嬢さんだと、私は感じます。 　お母さん！　大切な娘さんの幸せを、大局的にしっかり見つめてあげて下さい。 そして、娘さんは、20歳を過ぎた、成人であるということも、お忘れなく。