幻舟のよろず相談劇場 (2)

                   

 どんな問題でも、ひとりで悩むより、他者に聞いてもらうと、フッと、モヤモヤが晴れたり解決のヒントが見えたりすることが人生にはよくあります。
 他者から知恵を得ることも大切で、無知こそ人生の損失です。
 本コーナーは、ホームページを通して、人生経験豊かな花柳幻舟が多岐にわたる悩み相談に真剣に答える自由空間です。ひとりで悩まないで、ぜひメールを!




<幻舟さん、どう思います。ちょっと教えて!>
      <陰湿なイジメの上司>

 学生時代から幻舟さんのホームページを楽しんで読ませていただいています。
 さて、私の職場で上司からのイジメに悩んでいます。
 今年で入社して2年目。会社は某有名商社です。
 イジメは、入社してすぐでした。とにかく、直属の上司(51歳)だから、なにかと接触があって距離を置くすべもない。
 なんでもかんでも、ちっぽけなことを、それも大声で指図をし、お茶の飲み方まで口出しする。自分のお茶の飲み方は、あたりかまわずズルズルと派手に音を立てて飲むくせに。
 文字がヘタとか、ヒル弁の時間が長いとか(昼休みは12時から1時20分)、この間、なにをしようと自由なのに、
「新人は先輩より休み時間も短くして働くもんだ!」
「ワシらの若いころは!」
 この言葉がコイツの口ぐせ。
 女性社員へのセクハラは日常。
「や〜おはよう、きれいな手してるネ」
 なんて言いながら、女性社員の手や肩を触るのが朝の挨拶。
 ある日、ず〜っと我慢をしていたのだろう女性社員が、
「やめて下さい、課長! それってセクハラですよ」
 と言った途端、イジメおやじ、間髪をいれず、
「なにがセクハラだよ、ブスが。やってもらっただけでも喜べよ!」
 と返してきた。
 その瞬間だけは、課全員がそのオヤジをにらみつけた。しかし、この発言に対して、誰ひとり抗議をする社員はいなかった。この手のセクハラは数限りなく、退社していった女性もいるらしい。
 なんとか仕返しはできないのか……。
 わが社にも組合はありますが、対外的の見せかけ組合。社員のためには何も動いてくれません。
 仕事そのものは、私としては合っていると思いますし、職場を辞める気はありません。
 しかし、この分でいくと、今すぐ異動もなさそうなので、しかしムカつくんですよね。
 懲(こ)らしめるいいアイデアはありませんか。
 あ、ヤツはカツラをつけているらしいんです(ウワサですが)。七三分けで、ビシッとムースで不自然に固めている点を見ると、まんざらウワサだけではなさそうです。
 ちょっとでも弱い人間には、上から目線で無礼な態度。プライドはやたら高いヤツです。
 ある昼休み時間、私がトイレの個室から出てくると、真正面の鏡の前にヤツがカツラを右左に動かし調整をしていました。鏡越しにお互いに目が合い、妙な気まずい雰囲気がただよった。
(う〜やっぱり高級カツラか!)
 私はしっかり見たわけです。
 ヤツをギャフンと言わせたい。そんな思いでメールしました。
 面白いアイデアありませんか、教えて下さい。
 とんでもない人間って、どこにでもいるものですか?

【神奈川県在住 20代・サラリーマン】



<ハイ お答えしましょう!>
 これは超論外なヤツですね。
 悔しいことばかりが続くと、体調も崩すし、仕事にも魅力がなくなってきます。
 カツラの話で、フッと思い出すことがあります。
 それはもう十何年も前の話です。
 自分の名前をタイトルにつけた朝のワイドショーのメインキャスター。
 某テレビ局では、実にエライ人やそうです。
 高級なカツラをつけているというウワサは、ほとんどのタレントさんやスタッフは周知。
「アイツ、本番中に釣り針つけて、カツラ取って、ご披露してやりてエヨ!」
 と、番組のスタッフが、笑いながら本気で怒りをこめて話していたことがあります。
 ヤツの実像も、ふんぞり返って、弱い者いじめ、しかしスタジオに入るや、ギャラリーのお客さんたちには、ニコニコペコペコ、人柄の良さをアピール。
 私も何回か、その番組に出ていましたから、彼の二面性を、とくと見抜いていました。

 ある日、食事に誘われ、ご一緒しました、二人きりで。
 私は、特に他の人より好奇心の強い人間で、面白半分で行きました。
 食事とともに日本酒を彼は飲み、下戸(げこ)の私も少しお付き合いにいただきました。
 彼からの話は、次の番組や、ラジオのレギュラーなど、絵に描いた餅をぶら下げた、おいしい内容ばっかり。
 いつの間にやら、私のウエストに手を回している彼。
 タクシーに二人して乗車。
 乗車した途端、私の肩を引き寄せて、私の耳もとで、
「自宅は遠いから、局の近くにマンションがあるんだよ……いいだろう」
 ゲエ〜ッ、いきなりかい!
 この調子で弱い立場のタレントさんたちをくらってきたのか……。
 私も、彼の耳もとに口を寄せて、思いきり色っぽい声でいいました。
「……ワタシ……ネ、興奮すると、男性の頭、カキムシリ、ぐちゃぐちゃにするクセがあるんだって……ワタシ……気づいてないのヨオ〜。○○さん、明日、お早いんでしょう……いい、それでも……」
 この言葉を私が発した途端、私を抱きしめていた手をはずし、私との距離もおき、
「そうだね! じゃあ、朝、ゆっくりのときに……」
 というが早いか、タクシーをトットと降りていった。
 それきり、私には彼の番組からお座敷はかからなかったです。

 誤解をしないで下さいネ。
 私はカツラを非難したり、面白がったりしているわけではありません。
 人にはそれぞれの弱点、それにまつわる気にしていることがあるんです。
 頭の薄毛や、皮下脂肪を気にしている人、様々です。
 自分だけ、欠点や弱点なんかないんだと、ふんぞり返り、おまけに権力の座から弱い者イジメは許せん行為です。
 自分が日ごろ隠していたいと、オロオロしていることを衆目にさらしてやり、弱者の積年の恨みを思いしらすのも、弱者の正義です。
 しかし、トイレでカツラを直している上司の姿を直視したのは、実にラッキー。イジメ上司から一本取りましたね。
 きっとこれから、偶然によるイジメ上司の弱点に遭遇しますよ! きっとネ。
 できる限り、そんな小者の言葉など馬耳東風で、仕事して下さい。


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